デモクラシーとは何か
著者:チャールズ・E・メリアム
訳:森 眞沙子
判型:四六判・並製・108ページ
発行日:2017年9月10日
ISBN:978-904180-77-8
定価:1,800円+税
本書におけるメリアムのデモクラシー観は、①人間の尊厳を扱うことの重要性、②人間の完全性または進化への信頼、③文明および国家の所産-基本的には大衆の利益、④被統治者の同意に基づく価値に対する信頼、⑤合理的過程、全員一致の協議によって決定した価値、の5説に集約されるが、これは人間の尊厳と進化する人間への信頼が近年大衆の利益となり、被治者大衆の同意に基づいて合理的な決定過程で利益を分配するシステムといえるであろう。
また、メリアムは、これまでの歴史においてもデモクラシーには、数々の誤解が付きまとってきたものの、本当の問題は、デモクラシーを標榜する多くの仲間たちが誤解を解かないで、これらの批判を甘受しているからだ、と多くの例を掲げて批評した。そして、平等は一つの理想として常に価値を有するものであり、最終目的として価値あるものである。さらに自由は、単に法律上の形式であるばかりでなく、生きている社会に根ざしたものである。したがってデモクラシー国家は、平等と自由を護り発展させようとしているとして、政治社会におけるコ・オペレーションの様式とその強い使命を提唱した。
すなわち、メリアムは、政府の目的を「公共の福祉および共通善」にあると設定し、それは市民の「共通の合意と協力」のうちに、そして同時に「友愛と科学的調査」の手段によって「計画」されることが必要であると、強調した。コ・オペレーション(Co-operation 協力)は、政府と個々の市民相互との強い協力関係、換言すると強い政治的連携の重要性を訴えて、理想的なデモクラシーの政治を展望したといえる。
訳者あとがき より
目次
緒 言 / 3
序 文 / 4
第1章 デモクラシーとは何か / 5
第2章 数々の誤解 / 17
第3章 デモクラシーと平等 / 29
第4章 デモクラシーと自由 / 49
第5章 デモクラシーを機能させる / 69
訳者あとがき / 85
チャールズ・E・メリアム主要著書 / 97
索引 / 98
訳者紹介 / 105
《訳者紹介》
森<田口> 眞砂子(もり<たぐち>まさこ)
北海道 羽幌町出身。
1989年 日本大学大学院 法学研究科博士課程修了。
2012年4月~12月 アメリカ合衆国カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校(UCLA)へ語学留学を兼ねて、2012年のア
メリカ大統領選挙を観察。
拓殖大学政治経済学部、専修大学法学部 講師を歴任。
現在、放送大学教養学部面接授業コース講師。
専攻 政治学原論・アメリカの政治と政治理論
著書 『現代アメリカの政治理論――チャールズ・E・メリアムの政治学を中心に』エーアンドエー株式会社、1999年。
『新アメリカ政治論――政治制度と政治思想のコラボレーション』本の泉社、2014年。
共著 「現代の政治理論」(大塚桂編『政治学へのいざない』第2版)成文堂、2008年。
「チャールズ・E・メリアムの政治思想」(岡野加穂留監修、現代臨床政治学叢書3、岡野・伊藤重行編『政治思想とデモクラシーの検証』)東信堂、2005年。
「対日平和条約と日米安保条約」(藤本一美・折立和夫編『戦後日本政治ハンドブック 占領と戦後政治<1945-54年> 第1巻』)つなん出版、2005年。
その他、書評、論文多数。
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