米国のリバタリアニズムと「新保守主義」
著者 菅野 淳
判型:B6判・240ページ
発行日:2013年1月20日
ISBN:9784904180242
定価:本体2,667円+税
本書は現代米国の「保守」、その中のリバタリアニズムと「新保守主義」との対立に触れながら、リバタリアニズム※を中心に論じたものである。
著者は本書まえがきで「米国の現状を見るにつけ、『保守』も『リベラル』も『大きい政府』から脱却できず一種の行き詰まりを強く感じる。こうした現状を打破するには、リバタリアニズムが最も有効な処方箋になる」と明快に述べている。
「現在の『保守』と『リベラル(あるいは革新)』には相矛盾する要素を抱えている。政治的対立軸を左右でのみ考えることは、本質的な部分を見落とすことになる」と指摘し、政治的対立を上下の対立軸、つまり公権力の介入を是とするか非とするか、で考えることにより「政治と社会の本質が浮かび上がってくる」のだと言う。
本書は米国を舞台に論じたものだが、震災復興という特殊事情を抱えているものの、「大きい政府」の行き詰まりは日本も同様であろう。一見、夢想的なユートピア思想のように思える(著者の言)リバタリアニズムだが、「実は公権力の根本的欠陥を正確に把握し、それに依拠しない市民生活を希求する極めて明確な指針たりえる思想である」との主張は、今後の日本を考える上で傾聴に値するのではなかろうか。
※リバタリアズムとは経済的、社会的、その他あらゆる分野で公権力の介入を拒否し、いわゆる「小さい政府」の徹底化を主張する自由主義思想。
著者紹介
菅野 淳
1964年 宮城県に生まれる
2000年 専修大学大学院法学研究科公法学専攻修士課程修了
2005年 関東学院大学大学院法学研究科法律学専攻博士後期課程修了
現在 日本臨床政治研究所 主任研究員
著作 『ジョンソン大統領とアメリカ政治』(共著、つなん出版、2004年)
『戦後米国大統領事典』(共著、大空社、2009年)
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