東アジア国際関係の新展開
安全保障と市民社会の側面から見た
対抗と調和の力学
著者:鈴木 隆
判型:四六判・並製・242ページ
発行日:2017年6月30日
ISBN : 978-904180747
定価:2,400円+税
本書は、これらの議論を通じて、1つには、現代国際関係の基調をなす分離と統合の構造、および分離と統合という相反するベクトルを同時進行させ、国際関係を複雑化させている対抗と調和の力学を明らかにする。そのうえで、2つには、対抗と調和の力学が作働する過程で、分離や分断を導いているASEANディバイドや米中対峙といった外患と、ナショナリズムやポピュリズムといった内憂が、再び東アジアでの新地域形成の動きへと転じていく可能性について、制度的地域協力としての統合が安全保障をめぐる国際政治の側面において果たし得る機能と役割とを明らかにする。序章 交錯する分離と統合 より
《目 次》
序 章 交錯する分離と統合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
1 米中対峙のなかの東アジア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・ 5
2 東アジアで交錯する分離と統合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
3 問題の設定と本書の構成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 13
第1章 東アジア統合構想の根拠と展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
1 冷戦後の分離と統合・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
2 自由貿易体制の動揺・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
3 EAEC構想の根拠と展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・ 24
4 EAEC構想の破綻と新たな統合構想の胎動 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
第2章 新しい地域概念の萌芽と2つの力学の相克 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
1 東アジア地域情勢の変化と広域協力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38
2 非伝統的安全保障問題と広域協力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43
3 ポピュリズムのなかで相克する2つの力学 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ 45
第3章 安全保障と地域統合をめぐる国際社会の構図 ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・ 59
1 安全保障と地域統合の相互連関関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 59
2 国家と地域統合の相関に関する理論的検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63
3 ネオネオ統合と地域統合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77
第4章 安全保障環境の変容と東アジア国際関係の構図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 82
1 理論の側面から見た東アジア地域統合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 82
2 安全保障環境の変容と日本の反応 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86
3 安全保障環境の変容に伴う東アジア諸国の存立要件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 91
4 新しい安全保障環境と東アジア地域統合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 96
第5章 マレーシア市民社会の萌芽と成熟 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 102
1 ブミプトラ政策下の国家国民統合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 104
2 マレーシア型開発体制の構造と特質 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 113
3 市民社会の萌芽と成熟・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 124
4 マレーシアにおける市民社会の課題と展望 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 143
第6章 東アジア統合の可能性と日本外交の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 146
1 アメリカ・ファクター:日米同盟と東アジア地域統合との整合化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 146
2 チャイナ・ファクター:国際法の遵守と民主化路線への誘導 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 150
3 ASEANファクター:大メコン圏への援助とASEAN支援の強化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 154
4 日本の地域共同体戦略と日本外交の役割 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 160
終章 対抗と調和の力学はどこに向かうのか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 163
執筆者紹介
鈴木 隆(すずき・りゅう)
1974年 栃木県宇都宮市生まれ。
1997年 筑波大学第一学群社会学類卒業。
2003年 筑波大学大学院博士課程社会科学研究科修了。博士(法学)。
作新学院大学助教授、准教授をへて、
現在 名古屋学院大学法学部教授。
この間、筑波大学、茨城大学、富山大学、東京国際大学、平成国際大学で非常勤講師のほか、早稲田大学現代政治経済研究所特別研究員などを歴任。
[専攻]
国際政治学・東アジア国際関係論・比較政治学
[主要著書]
『安全保障と国際関係』(共著、内外出版、2016年)
『市民社会の成熟と国際関係』(共著、志學社、2014年)
『東アジア統合の国際政治経済学
――ASEAN地域主義から自立的発展モデルへ』(国際書院、2011年、第2回岡倉天心記念賞)『東アジア共同体と日本の戦略』
(共著、桜美林大学北東アジア総合研究所、2011年)
『日本外交と国際関係』(共著、内外出版、2009年)
『東アジア共同体を設計する』(共著、日本経済評論社、2006年)
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