山本武彦著作集 4
輸出管理・経済制裁
著者:山本 武彦
判型:A5判・並製・274ページ
発行日:2020年12月25日
ISBN:9784909970053
定価:2,700円+税
山本武彦著作選集第4巻の刊行に当たって
本著作選集第4巻では、戦後日本が輸出立国を国家目標にして戦後復興に乗り出してから直面してきた輸出管理の多くの局面をめぐって、国家の安全保障と国際安全保障の両面から考察した諸論考が収められている。時代的には特に1980年代以降、輸出大国として巻き込まれたいくつかの出来事を視野に入れ、安全保障上の大きな争点となった先端工作機械の対ソ不正輸出事件などを手掛かりに執筆した諸論考を選んで掲載した。
また、輸出管理の論点と深く関わる経済制裁についても、その及ぼす国際政治経済上の影響と国際関係上の力学をめぐって著した論考をも収録した。2020年12月1日から中国で輸出管理法が施行されることとなった。世界やアジアにおける地域輸出管理レジームの将来にどのような影響を及ぼすか。中国に直接投資を加速させてきた日本の輸出管理戦略にどのような影響を及ぼすのか、極めて注目される。これらの諸論考がこうした新しい争点や今後起こりうる輸出管理問題や経済制裁の研究に役立つことがあれば、幸いである。
2020年12月10日
山本 武彦
目 次
山本武彦著作選集第4巻の刊行に当たって・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・i
第1章 対共産圏輸出統制政策の展開と構造
―ココム規制の強化・緩和の政治的力学をめぐって―・・・・・・・・・・・・・・・・1
第2章 ココム もう一つの技術摩擦
―非公式な「紳士協定」の存在理由―・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
第3章 腐食化するココム体制
―内部矛盾で覆われた経済冷戦組織―・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38
第4章 対ソ経済制裁をめぐる西側世界内部の矛盾
―ココム体制下の矛盾を中心としてー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
第5章 ソ連圏に対する高度技術禁輸をめぐる対立と協調
―米国の政策変化と同盟諸国の対応からみてー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 60
第6章 ココム強化に執念燃やすレーガン米政権
―次の標的は“対ソ高度技術流出の温床”日本―・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79
第7章 「高度技術流出」と日本・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
第8章 ココム体制強化の動向と内部矛盾・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95
第9章 INF合意後の経済的デタントの行方・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・107
第10章 ココム規制違反事件を通してみた国際政治・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・123
第11章 偽善の米ココム戦略にモノいわぬ日本・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・132
第12章 東芝機械事件とココム体制強化
― 技術安全保障の視点から―・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・138
第13章 東西経済関係をめぐるNATO体制内の協調と対立
——金融と技術の安全保障を中心に―・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・148
第14章 変貌するココム体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・162
第15章 国際輸出管理レジームの再編・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・168
第16章 新ココム体制もジレンマに直面する
―加盟国間の「対立劇」は繰り返されよう―・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・175
第17章 戦後経済冷戦の深化と日本外交
―経済「封じ込め」網の形成力学をめぐって―・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・182
第18章 経済制裁と「安全保障のジレンマ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・203
第19章 国連の対北朝鮮経済制裁はなぜ成功しないか
―国連経済制裁の限界に関する一研究―・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・228
山本武彦著作一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・248
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