国富倍増 日本国富ファンド

  ―グローバル金融資本主義の政治経済学―

著者 大井 幸子

判型:B6判・186ページ

発行日:2013年3月15日

ISBN:9784904180259

定価:1,800円+税

本書の著者は日米の金融、政治経済面で幅広い人脈を持ち、国際金融アナリストとして現在活躍中である。著者は、政権交代なった安部政権の最大課題は日本再生、経済成長であるとするも、その目玉であるアベノミクスについて、日本の経済成長を促すのかどうか、疑問だとしている。

デフレは不況の結果であり、デフレ脱却のために健全な金融システムをねじ曲げてまでインフレを起こすのは、筋違いである。なすべきことは単なる量的緩和でなく、「リスクマネーの循環」であり、そのポンプ役を果たすのが、銀行に代わる「第三の金融機関」つまり日本版政府系ファンド(日本国富ファンド)なのだと主張する。

 この主張の傍証としてシンガポール政府系ファンドの成功例を挙げ、今あるうちに高度成長で蓄えたお金を賢く運用しよう、さもないと「いつまでもあると思うな、親とカネ、ならぬ国とカネ」になってしまうと警鐘を鳴らす。

 お金は政治的な影響力であり、国際的・外交的には安全保障の力になる。その切り札が「国富倍増、日本国富ファンド」だとも言う。

 本書はサブタイトルの『グローバル金融資本主義の政治経済学』に示す通り、やや肩の凝る内容であるが、一つ一つの文章は短文で読み易く、理解し易い。専門外の読者にもお薦めできる一書である。

著者紹介

大井 幸子

1981年 慶応大学法学部政治学科卒業

1985年 フルブライト奨学生としてスミス・カレッジ、

ジョンズ・ホプキンズ(SAIS)に留学

1987年 慶応大学大学院経済学研究科博士課程終了後、

明治生命保険国際投資部勤務

1989年 ムーディーズ(ニューヨーク本社)ストラクチャード・ファイナンス部アナリスト

1991年 リーマン・ブラザーズ(ニューヨーク本社)債権調査部、

キダー・ピーボディ債券営業。

現在 国際金融情報専門会社SAIL代表取締役社長

  クロスポイント・アドバイザーズの共同パートナー

  文教大学国際学部非常勤講師

著作 『お金の正しい守り方』(日経新聞出版社、2012年)

 『ヘッジファンドで増やす時代』(東洋経済新報社、2005年)  他多数

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