国家形成と産業政策
ー中野武営の実業政策論ー
著者 佐賀 香織
判型:A5判・上製・288ページ
発行日 2015年1月15日
ISBN:9784904180440
定価:3200円+税
本書は、明治から大正時代にかけて活躍した実業家であり、かつ政治家でもあった中野武営(1848‐1918年)の「実業政策論」について、その形成と展開過程を論述し、歴史的意義を解明したものある。
中野武営は、明治維新の20年前の幕末期に生誕してから第一次世界大戦終結の時まで、開国・維新から明治国家体制の成立、資本主義経済体制と帝国主義の確立と再編という近代日本の歴史過程で、「実業政策論」の提唱・実践者として重要な役割を演じている。
中野は国民的利益と国家的利益との関係およびその調和に腐心し、政党政治の実現を期待した立憲政治論を展開した。
本書では、このような中野武営の「実業政策論」の解明のために形成・展開過程について分析、、「実業政策論」のエートスともいえる「士魂商才」を探るために、幕末維新期の歴史的条件の解明から検証している。その意味で、江戸時代から幕末維新期を経て近代化の条件が整備されていった「連続性」の側面を中野の生涯を通して把握しようとした点が本書の特色の一つとなっている。
目次
序章 本書の課題と構成
第一節 本書の課題
第二節 先行研究とその問題点
第三節 本書の構成
第一章 実業政策論の萌芽
第一節 生い立ち第二節 幕末維新期の高松藩政
第二章 実業政策論の形成
第一節 地方官吏としての活動
第二節 中央政府への出仕と地租改正事業
第二節 政党政治家としての活動
第三節 実業界への進出
第三章 実業政策論の展開
第一節 初期議会での活躍
第二節 東京商業会議所への参加
第三節 日露戦後経営期以降の活躍
第四章 国民外交論
第一節 国民外交論の基調
第二節 対米民間経済外交の促進
第三節 清・韓との友好提携を求めて
第五章 市政改革新論
第一節 東京市政革新への取り組み
第二節 実業政策論の試練
終章 本書の要約と今後の課題
著者略歴
佐賀 香織(さが かおり)
香川県育ち
法政大学大学院公共政策研究科博士後期課程退学
博士(政治学)
現在、法政大学大学院政策科学研究所特別研究員、日本地方政治学会・日本地域政治学会幹事
フェリス女学院大学・城西大学 講師
専攻、政治学、地方行政論、政策過程論
主要論文 「圧力団体による政党形成―近代初頭の 日本における戊申倶楽部を中心に」『公共政策志林』
第一号(二〇一三年)
「東京商工会議所の政策過程における影響に関する 一考察―条約改正交渉過程を中心として」『法政論叢』
第四九巻第二号(二〇一三年)他、多数 専門書↑
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