ヨーロッパ政党政治の再考
―社会構造と政策対立の接点―
政策科学叢書 2
著者:杉村 豪一
判型:A5判・並製・198ページ
発行日:2016年1月21日
ISBN:9784904180525
定価:2,400円+税
ヨーロッパ政党政治の再考
ヨーロッパの政党政治は今、転換点を迎えている。
グローバル化の進行は、経済を一国で完結させることを困難にするとともに、その下で営まれていた諸集団の調和に基づくヨーロッパ流の政治経済体制に変革を迫っている。また、大きな期待とともに進展したヨーロッパ統合は、多くの新たな機会を人々に与えてきたが、ギリシア経済危機を端緒に、現在ではその負の側面を露わとしている。さらには、東欧や中東からやってくる移民と「自国民」による異文化間の接触は、時に摩擦をもたらし、それを利用するポピュリスト政治家の台頭とともに社会融和を困難なものとしている。
現在に限らず、ヨーロッパ政党政治は常に多様な姿を示し続けてきた。その多様性の根源を辿れば、各国ごとに異なる「社会構造」に行き着く。そして、この「社会構造」を理解するためには、それが構築されるに至った長い歴史を紐解かなければならない。
こうした観点から、歴史に着目した分析を行い、多様なヨーロッパの政党政治を説明した人物に、リプセットとロッカン(Lipset & Rokkan 1967)がいる。本書では、彼らの提示した分析枠組を参照しつつ、ヨーロッパ政党政治についての再考を進める。二人の示した枠組みを出発点に、「社会構造」と「政策対立」との接点を見出すことで、激しく移り変わりつつも、多様な展開を見せる現代のヨーロッパ政党政治の実像は、初めて明らかなものとなるであろう。
本書 まえがき より
著者略歴
杉村 豪一 (すぎむら こういち)
1982年 静岡県生まれ
2014年 神戸大学大学院国際協力研究科博士後期課程修了博士(政治学)
現在、神戸大学大学院国際協力研究科研究員、法政大学・駒沢大学 講師
専攻、政党政治学、ヨーロッパ政治論
主要論文 「現代政党の政策位置とクリーヴィッジ」
(2015年、地方政治研究・地域政治研究第2巻第1号)
「現代ヨーロッパ政治論の分析視角とクリーヴィッジ」
(2015年、国際協力論集第23巻第1号)
「東アジアにおける持続可能性のある高齢化社会構築のための方策」
共著者 木村幹、杉本直俊、金成垣、陳永峰
(2015年、アジア太平洋研究所:北東アジア少子高齢化研究会報告書)
他、多数
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